G7、生成AI競争を促す
先進7カ国(G7)の競争規制当局による会合が東京都内で開かれた。
生成人工知能(AI)をはじめとする新技術に関して、世界中で事業を
展開する巨大IT企業の市場支配が強まらないよう、各国当局が連携する
ことなどを盛り込んだ共同声明を採択し、閉幕した。
各国当局の問題意識やそれぞれの現状を共有し、事前規制の導入など
迅速な対応につなげる狙いもある。
日本からは公正取引委員会や内閣官房デジタル市場競争本部の幹部が
参加した。
会合の冒頭、議長を務める公取委の古谷一之委員長は「デジタル経済は
急速に成長し、私たちの生活に大きな影響を与えている」と指摘。
顕著な例として、生成AIを挙げた。
閉幕後採択した共同声明では、G7当局間の「緊密な国際協力を促進する
ことが不可欠」と強調。
各国が独占禁止法など、既存法令の適用や規制の見直しなど、さまざまな
分野で連携を深める必要性を訴えた。
生成AIに関しては「生産性や成長率を向上させたりする可能性がある」と、
その普及を評価する一方で、透明性や偽情報、個人情報保護などの対応すべき
問題点も列挙した。
生成AIなどは開発にあたり大量のデータを必要とするため、そうしたデータを
既に保有する巨大ITが不当に価格の引き上げを行えば、最終的に消費者に
損害を与えかねない可能性も指摘した。
規制乱立、googleなど反発
先進7カ国(G7)競争規制当局会合では、生成人工知能(AI)をはじめとする
デジタル分野の競争の促進や保護を柱とする共同声明が採択された。
急速な技術発展により、巨大IT企業の市場支配力が強まっており、
国際連携を強めて適切な競争環境の整備を行うのが狙いだが、
デジタル分野をめぐっては、各国や地域でもそれぞれ独自の規制が乱立。
複雑化する規制により、イノベーション(技術革新)を阻害する懸念も
浮かび上がっている。
IT技術革新・疎外の懸念
「革新的な技術は、より競争的な市場を促進し得る一方、競争に対する
弊害も潜在的には存在する。」
発表された共同声明は、生成AIなどの革新性の高い新技術を巨大ITが
自社サービスに組み込んだ場合、競争上の弊害をもたらす可能性が
あると指摘した。
革新性の高い新サービスは、技術力と資金力のある巨大企業ほど
導入しやすいためだ。
各国の規制当局が懸念を早期に予測・対処するための市場調査などを
行い、G7で情報共有を深める重要性が確認された。
ただ近年、デジタル分野をめぐっては、様々な規制が乱立している。
急激にイノベーションが進む中で、巨大ITが市場を独占することなどへの
懸念が高まり、各国の規制当局側がルール作りを急いでいるためだ。
生成AIに関してだけでも、G7が広島AIプロセスで開発者向けの行動指針を
まとめたほか、欧州連合(EU)はAIをリスクに応じて分類し、規制内容を変え
AI規制法案を可決。
米国ではAIに対する厳格な安全性を求める大統領令が発令され、日本では
AI戦略会議による利用者向けのルール作りなどが進められている。
ただ、こうした動きは開発側が複雑化した規制に縛られることとなり、
技術革新を妨げることにもなりかねない。
実際に、googleやアップルは各国の規制に対し、寡占状態になって
いるのは、「人々が選んだ結果だ」などと反発している。
中国などはこうした規制の枠外で技術革新を進めている現実もあり、
必要以上に技術革新を阻害しない配慮も重要となる。
習氏 AI国際協力表明
中国の習近平国家主席は、浙江省烏鎮で開幕した「世界インターネット
大会」でビデオ演説し[各国と協力して人工知能AIの安全な発展を
促進する]と述べた。
ただ、中国政府はAIに独自の言論規制を敷いて海外勢を排除しており、
共産党統治の安定性を揺るがせない範囲での国際協力にとどめると
みられる。
生成Aをめぐり、中国政府は言論を統制する管理規則を8月に施工し、
国家政権転覆を扇動したり、国家安全に危害を加え加えたりする内容が
生成されてはならないと規定。
政府方針に適合した国内のIT企業が開発したAIに許可を与えている。
米企業のオープンAIが開発した「チャットGPT」といった海外のAIは
事実上利用できない。